抄録
1992年, Morton, Cochranらは皮膚悪性黒色腫の治療にintraoperative lymphatic mapPingとsentinel node biopsyという概念を導入し, その有用性について報告した。今日では欧米を中心に, 悪性黒色腫はsentinel node conceptの成立する腫瘍として知られており, この方法の確立によって, 所属リンパ節の取り扱い方法がより厳密に規定されることが考えられる。国立がんセンター中央病院皮膚科においても, 色素法と術中ガンマプローブ法を用いてsentinel node biopsyのfeasibility studyを行い,sentinel nodeの同定率は85%という結果を得た。鼠径リンパ節に限れば同定率は90%であり, また, 色素法に術中ガンマプローブを併用した場合には, 鼠径, 腋窩, 頸部リンパ節とも100%と良好であった。一方, sentinel node に転移がなくnon sentinel nodeに転移の見つかる偽陰性例は1例も無かった。我が国においてもこの新しい手技が確立されつつある。