Skin Cancer
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特異な組織像を呈し, 診断確定が困難であった悪性黒色腫の1例
中藤 奈美井上 香高木 裕子武藤 美香村田 浩松本 和彦高田 実斎田 俊明吉澤 さえ子武居 彰
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2006 年 21 巻 1 号 p. 31-35

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抄録

57歳女性。初診の約2年前に左踵内側の褐色局面に気付いた。以後大きさ, 色調に変化はなかった。当科初診時, 同部に8.9×11.9×1.0mm大の, 淡褐色~褐色の扁平隆起性局面を認めた。全摘して組織学的に検討した。表皮には基底層部にメラノサイトの軽度の増数が見出され, 真皮浅層には顕著な線維化層が広範に認められた。この線維化層の下の真皮中深層部に異型細胞の増殖巣が見出され, 免疫染色にてS-100, MART-1陽性, HMB45陰性であった。組織学的に診断困難であったが, 悪性黒色腫を否定できないと考え, 原発巣の拡大再切除とセンチネルリンパ節生検を施行した。センチネルリンパ節の実質辺縁部にMART-1とHMB45陽性の細胞が数個散在性に見出された。本症例を悪性黒色腫と考え, 原発切除創周囲にインターフェロンβ蛋白の局注を施行している。

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© 日本皮膚悪性腫瘍学会
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