Skin Cancer
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皮疹の性状, 組織像から皮膚病変を伴うATLLの予後を推測する
山口 隆広中山 樹一郎
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2006 年 21 巻 3 号 p. 268-272

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抄録

成人T細胞白血病/リンパ腫は, ヒトT細胞向性ウイルスI型の感染による末梢T細胞の白血病ないしリンパ腫である。確定診断にはリンパ球中のHTLV-1プロウイルスDNAのモノクローナルバンドをサザンプロット法により証明することが妥当である。今回我々はATLLの皮膚病変の臨床像, 病理組織像とその予後との関係について解析した。血中HTLV-1抗体陽性で, ATLLの皮膚病変が疑われた80例すべてをサザンプロット法にてHTLV-1 proviral DNAのmonoclonalな取り込みの有無を確認した。臨床像は紅斑, 丘疹, 結節に分け, 組織像は異型リンパ球の浸潤パターンで分け, 血管周囲性, びまん性, 結節性に分けた。また異型リンパ球の大きさを小型, 中型, 大型に分け, 各々予後曲線を描き有意差を検討した。その結果, 結節, 丘疹, 紅斑の順で予後が悪く, 組織像では結節性, びまん性, 血管周囲性の順で予後が悪かった。大型の異型リンパ球で構成されるものが, より予後が悪い傾向があった。

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© 日本皮膚悪性腫瘍学会
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