抄録
症例1は39歳,女性。症例2は57歳,男性。既往歴に花粉症,アレルギー性鼻炎もしくは口腔アレルギー症候群があるが,アトピー性皮膚炎や食物アレルギーはない。また,大豆製品摂取後にアレルギー症状を生じたことはないが,2例ともに豆乳摂取後にアレルギー症状を生じた。2例中1例で大豆特異的 IgE が陰性であり,2例ともに Gly m4,ハンノキ,シラカンバ特異的 IgE が陽性であり,プリックテストは豆乳で陽性を示した。花粉アレルゲンの交叉反応による豆乳クラス2食物アレルギーと診断した。患者には,豆腐や大豆,大豆油,また味噌,納豆,醤油のような発酵食品の摂取は可能であるが,豆乳や湯葉,おぼろ豆腐などの水分の多い豆腐の摂取はしないように指導した。(皮膚の科学,11: 286-289, 2012)