15歳,男性。初診の2年半前より項部にそう痒を伴う丘疹が出現し,初診時には後頸部から背部上方にかけて紅色の丘疹や小結節が多数集簇し,苔癬局面を形成していた。臨床検査では甲状腺機能を含め異常はなく,C型肝炎の合併も認めなかった。病理組織像では HE 染色で真皮の膠原線維の離解と好塩基性物質の沈着を認め,アルシアンブルー染色で真皮上層から中層の膠原線維間に青く染まるムチンの沈着を認めた。以上より限局型粘液水腫性苔癬と診断し,Rongioletti らの分類に従い discrete papular form と分類した。自験例は抗ヒスタミン薬の内服とステロイドの外用によりそう痒は軽減し,皮疹は改善傾向を示した。(皮膚の科学,11: 290-293, 2012)