皮膚の科学
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11 巻 , 4 号
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カラーライブラリー
症例
  • 三上 千花, 横瀬 千美, 飯田 沙織, 辻 正孝, 益田 浩司, 加藤 則人
    2012 年 11 巻 4 号 p. 286-289
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/12
    ジャーナル 認証あり
    症例1は39歳,女性。症例2は57歳,男性。既往歴に花粉症,アレルギー性鼻炎もしくは口腔アレルギー症候群があるが,アトピー性皮膚炎や食物アレルギーはない。また,大豆製品摂取後にアレルギー症状を生じたことはないが,2例ともに豆乳摂取後にアレルギー症状を生じた。2例中1例で大豆特異的 IgE が陰性であり,2例ともに Gly m4,ハンノキ,シラカンバ特異的 IgE が陽性であり,プリックテストは豆乳で陽性を示した。花粉アレルゲンの交叉反応による豆乳クラス2食物アレルギーと診断した。患者には,豆腐や大豆,大豆油,また味噌,納豆,醤油のような発酵食品の摂取は可能であるが,豆乳や湯葉,おぼろ豆腐などの水分の多い豆腐の摂取はしないように指導した。(皮膚の科学,11: 286-289, 2012)
  • 富永 千春, 夏秋 優, 山西 清文
    2012 年 11 巻 4 号 p. 290-293
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/12
    ジャーナル 認証あり
    15歳,男性。初診の2年半前より項部にそう痒を伴う丘疹が出現し,初診時には後頸部から背部上方にかけて紅色の丘疹や小結節が多数集簇し,苔癬局面を形成していた。臨床検査では甲状腺機能を含め異常はなく,C型肝炎の合併も認めなかった。病理組織像では HE 染色で真皮の膠原線維の離解と好塩基性物質の沈着を認め,アルシアンブルー染色で真皮上層から中層の膠原線維間に青く染まるムチンの沈着を認めた。以上より限局型粘液水腫性苔癬と診断し,Rongioletti らの分類に従い discrete papular form と分類した。自験例は抗ヒスタミン薬の内服とステロイドの外用によりそう痒は軽減し,皮疹は改善傾向を示した。(皮膚の科学,11: 290-293, 2012)
  • 穀内 康人, 藤原 美智子, 黒川 晃夫, 下江 文子, 上田 英一郎, 森脇 真一
    2012 年 11 巻 4 号 p. 294-299
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/12
    ジャーナル 認証あり
    症例1:45歳,男性。既往歴として2型糖尿病がある。上肢を虫に刺された後に全身に皮疹が出現したため当院を受診した。初診時,クレーター状にくぼんだ中心窩に角栓を伴う丘疹や結節を全身に認めた。病理組織学的に膠原線維の経表皮排泄像がみられたことから,本症例を後天性反応性穿孔性膠原線維症 (acquired reactive perforating collagenosis: ARPC) と診断した。症例2:28歳,女性。下腿を虫に刺された後より全身に皮疹が出現し,増悪してきたため当院を受診した。初診時,症例1と同様の皮疹が四肢にみられた。病理組織像は症例1と同様であり,ARPC と診断した。症例1は2型糖尿病に伴う ARPC であったが,両疾患の病勢に明らかな関連性はみられなかった。症例2は基礎疾患を伴わない ARPC であった。ARPC は様々な基礎疾患に併発するが,そう痒を伴うものが多い。自験例ではいずれも虫刺症をきっかけに発症しており,掻破などの外的刺激が ARPC の発症に大きく関与していることが推測された。(皮膚の科学,11: 294-299, 2012)
  • 朝倉 麻紀子, 﨑元 和子, 室﨑 伸和, 河合 建一郎, 三浦 宏之
    2012 年 11 巻 4 号 p. 300-303
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/12
    ジャーナル 認証あり
    20歳,男性。臍部腫瘤と臍部からの排膿,下腹部痛が出現し,近医皮膚科で内服抗生剤による治療を受けたが,改善しないため当科を受診した。初診時,臍部に膿性浸出液を付着した紅色肉芽様腫瘤と下腹部痛を認めた。腹部超音波検査で下腹部の筋膜下に臍部と連続する 18×14mm 大の低エコー領域が存在し,腹部 CT 検査で臍部皮下から腹壁にかけて膿瘍と考えられる軟部陰影がみられた。症状と画像検査所見から尿膜管遺残症とその二次感染による膿瘍形成と診断し,感染をコントロールした後,根本的治療として尿膜管切除術を行った。術後半年経過するが再発を認めていない。(皮膚の科学,11: 300-303, 2012)
  • 吉岡 希, 椋棒 圭子, 磯貝 理恵子, 山田 秀和
    2012 年 11 巻 4 号 p. 304-307
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/12
    ジャーナル 認証あり
    約20年前より右臀部に感染を繰り返す粉瘤が存在していた。近医での切開を契機として急激に増大してきたため,当院を紹介され受診した。右臀部に約 9cm 大の腫瘤を認め,生検の結果は有棘細胞癌であった。MRI で大臀筋への浸潤をみとめ CT で右鼠径部リンパ節の腫大を認めたため,拡大切除術とリンパ節廓清術施行した。病理組織像では嚢腫様構造を示し,分化度の高い腫瘍塊とそれに連続する嚢腫壁が存在していた。粉瘤から有棘細胞癌が発生しうることもあるので,注意が必要である。(皮膚の科学,11: 304-307, 2012)
  • 越田 冴野, 櫟原 維華, 黒川 晃夫, 上田 英一郎, 森脇 真一
    2012 年 11 巻 4 号 p. 308-312
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/12
    ジャーナル 認証あり
    53歳,女性。2年前から左第1指に腫瘤があった。初診1ヶ月前の他院にて施行されたエコー検査では境界明瞭な低エコー塊であることから充実性腫瘍と判断され,精査と加療を目的に当院へ紹介された。初診時,左第1指 IP 関節背側に径 16×16mm 大の弾性硬で下床との癒着のある表面平滑なやや黄褐色の皮下腫瘤が存在した。MRI では左第1指 IP 関節背側に T1 強調像で低信号,T2 強調像で高信号を伴う低信号,T1,T2 強調像で骨皮質は腫瘍部位で境界不明瞭の信号変化を認め,造影 T1 強調像にて明瞭になる病巣がみられた。皮膚生検を施行したところ,真皮深層から皮下組織に組織球様細胞や類上皮細胞,破骨細胞型多核巨細胞,泡沫細胞および線維芽細胞からなる集塊がみられた。浸潤する細胞の大部分は CD68 陽性であった。以上より本症例を腱鞘巨細胞腫 (giant cell tumor of tendon sheath) と診断した。皮膚科領域での本邦報告例は文献的には2000年以降26例(自験例含む)であり,発症部位は手指が15例と最多であった。(皮膚の科学,11: 308-312, 2012)
  • 坂元 とも子, 安澤 数史, 藤井 俊樹, 田邉 洋, 望月 隆, 豊本 貴嗣
    2012 年 11 巻 4 号 p. 313-318
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/12
    ジャーナル 認証あり
    2009年某大学女子柔道部(部員数19名)で Trichophyton (T.) tonsurans 感染症の集団発生があり,2010年4月より2011年6月までに6回の検診を施行した。ヘアブラシを用いて培養を行うブラシ法に加えて,体幹の皮疹に対してセロファンテープによる培養(以下テープ法)をおこなうことで,従来の検診では検出できなかった体部白癬の患者を抽出できたと考えられた。1回目の検診では19名中6名が培養陽性で,その内訳はブラシ法による頭部からの陽性者3名,テープ法による体部の陽性者4名,このうち1名は頭部,体部ともに T. tonsurans が陽性であった。分離株の遺伝子型はリボソーム RNA 遺伝子の NTS 領域の制限酵素分析法でいずれも NTS I型であった。陽性者6名全員を塩酸テルビナフィンの内服で治療した。2010年5月に行った3回目の検診で感染の終息を確認した。2011年4月新入生を迎えた後の5回目の検診時に14名中6名が培養で陽性であったが,再度の治療により感染は終息しつつある。なお,女子柔道部員では毛髪を束ねて結い上げる際に毛包一致性の丘疹や不完全脱毛斑を生じる場合があり,これが black dot ringworm に類似した所見を呈することから,鑑別に注意が必要と思われた。(皮膚の科学,11: 313-318, 2012)
使用試験
  • 佐藤 栄里子, 岡村 みや子, 桂 敏也, 三富 陽子, 松村 由美, 谷岡 未樹, 宮地 良樹
    2012 年 11 巻 4 号 p. 319-322
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/12
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    カリメロースナトリウム(別名カルボキシメチルセルロース carboxymethylcellulose; CMC) をジメチルイソプロピルアズレン軟膏あるいは亜鉛華単軟膏を基剤として混合した CMC 含有軟膏を調製し,下痢がつよい患者の皮膚炎に対して使用した。0~95歳の60名に使用し,2~161日の使用期間で皮膚の保護効果が十分に認められ,下痢の改善とともに皮膚炎も治癒した。CMC 含有軟膏によると思われる有害事象は認められなかった。下痢のつよい患者の皮膚炎に対し CMC 含有軟膏は高い安全性をもって使用できる優れた製剤であると考えた。(皮膚の科学,11: 319-322, 2012)
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