皮膚の科学
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症例
後天性反応性穿孔性膠原線維症 (acquired reactive perforating collagenosis) の2例
穀内 康人藤原 美智子黒川 晃夫下江 文子上田 英一郎森脇 真一
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2012 年 11 巻 4 号 p. 294-299

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抄録

症例1:45歳,男性。既往歴として2型糖尿病がある。上肢を虫に刺された後に全身に皮疹が出現したため当院を受診した。初診時,クレーター状にくぼんだ中心窩に角栓を伴う丘疹や結節を全身に認めた。病理組織学的に膠原線維の経表皮排泄像がみられたことから,本症例を後天性反応性穿孔性膠原線維症 (acquired reactive perforating collagenosis: ARPC) と診断した。症例2:28歳,女性。下腿を虫に刺された後より全身に皮疹が出現し,増悪してきたため当院を受診した。初診時,症例1と同様の皮疹が四肢にみられた。病理組織像は症例1と同様であり,ARPC と診断した。症例1は2型糖尿病に伴う ARPC であったが,両疾患の病勢に明らかな関連性はみられなかった。症例2は基礎疾患を伴わない ARPC であった。ARPC は様々な基礎疾患に併発するが,そう痒を伴うものが多い。自験例ではいずれも虫刺症をきっかけに発症しており,掻破などの外的刺激が ARPC の発症に大きく関与していることが推測された。(皮膚の科学,11: 294-299, 2012)

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© 2012 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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