2012 年 11 巻 4 号 p. 300-303
20歳,男性。臍部腫瘤と臍部からの排膿,下腹部痛が出現し,近医皮膚科で内服抗生剤による治療を受けたが,改善しないため当科を受診した。初診時,臍部に膿性浸出液を付着した紅色肉芽様腫瘤と下腹部痛を認めた。腹部超音波検査で下腹部の筋膜下に臍部と連続する 18×14mm 大の低エコー領域が存在し,腹部 CT 検査で臍部皮下から腹壁にかけて膿瘍と考えられる軟部陰影がみられた。症状と画像検査所見から尿膜管遺残症とその二次感染による膿瘍形成と診断し,感染をコントロールした後,根本的治療として尿膜管切除術を行った。術後半年経過するが再発を認めていない。(皮膚の科学,11: 300-303, 2012)