2012 年 11 巻 4 号 p. 304-307
約20年前より右臀部に感染を繰り返す粉瘤が存在していた。近医での切開を契機として急激に増大してきたため,当院を紹介され受診した。右臀部に約 9cm 大の腫瘤を認め,生検の結果は有棘細胞癌であった。MRI で大臀筋への浸潤をみとめ CT で右鼠径部リンパ節の腫大を認めたため,拡大切除術とリンパ節廓清術施行した。病理組織像では嚢腫様構造を示し,分化度の高い腫瘍塊とそれに連続する嚢腫壁が存在していた。粉瘤から有棘細胞癌が発生しうることもあるので,注意が必要である。(皮膚の科学,11: 304-307, 2012)