皮膚の科学
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症例
結節性皮膚ループスムチン症の1例
清水 博子黒川 晃夫上田 英一郎森脇 真一
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2012 年 11 巻 5 号 p. 413-417

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抄録
22歳,男性。初診の2ヶ月前より四肢の関節痛および開口障害が出現した。その後,両側前腕伸側に多数の皮下結節が出現し,顔面紅斑や筋肉痛も生じたため当院を受診した。初診時,前腕伸側に母指頭大までの皮下結節を認めた。また両側頬部には左右対称性の浮腫性紅斑がみられた。全身エリテマトーデス (SLE) の診断基準を満たしたため自験例を SLE と診断した。また前腕皮下結節を生検したところ,組織学的には膠原線維間にヒアルロン酸を主体とする酸性ムコ多糖体の沈着を認めた。以上より,この皮疹を結節性皮膚ループスムチン症 (NCLM) と診断した。ステロイドパルス療法を施行したところ皮疹は速やかに消退した。その後プレドニゾロンの経口投与を 75mg/日より開始し徐々に減量し,またタクロリムスの経口投与を 1mg/日より開始してこれは徐々に増量した。6ヶ月後の現在プレドニゾロン 20mg/日,タクロリムス 4mg/日を継続投与中であるが,皮疹の再燃はみられていない。本症は SLE に最も多く合併するとされ,SLE の疾患活動性との相関が強く示唆されている。よってステロイド全身投与にて消退しても,今後原疾患の急性増悪に伴い皮疹の再燃の可能性があり注意深い観察が必要であると考えられる。(皮膚の科学,11: 413-417, 2012)
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© 2012 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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