皮膚の科学
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症例
潰瘍化し巨大な局面を呈したリポイド類壊死症の1例
西村 景子廣川 景子菅谷 直樹鈴木 加余子泉 美貴松永 佳世子
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2012 年 11 巻 5 号 p. 418-422

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抄録

79歳,女性。既往に糖尿病はない。初診の2年前より両下腿前面に軽い痛み,痺れを伴う小紅斑が多発し,局面を形成した。その後同部位に潰瘍が出現したため当院を受診した。初診の皮膚生検では診断がつかず,2回目の皮膚生検にて,病理組織学的に柵状肉芽腫と多核巨細胞,組織球を認め,リポイド類壊死症と診断した。6ヶ月後よりトラニラスト 300mg/日の内服を開始し,9ヶ月後よりクロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏の外用を行ったところ,病変部辺縁部の隆起は平坦化し,紅斑も消退し軽快した。様々な治療が試みられているリポイド類壊死症において,本症例はトラニラスト内服とクロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏外用治療が有効であった。(皮膚の科学,11: 418-422, 2012)

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© 2012 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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