皮膚の科学
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ひきこもりだったアトピー性皮膚炎
―心身医学的アプローチにより治療効果が上昇した1 例―
梅本 尚可飯田 絵理塚原 理恵子中村 考伸太田 学正木 真澄加倉井 真樹山田 朋子出光 俊郎
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2012 年 11 巻 Suppl.18 号 p. 53-56

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抄録

32 歳,男性。難治性成人アトピー性皮膚炎(AD)で当科を受診し,外来でシクロスポリン内服治療を行ったがコントロール不良だった。患者は内向的で訴えが少なく,医療者は彼の生活環境を認識していなかった。初診から1年半後,父親が患者がひきこもりであることを我々に伝えた。入院でステロイドの短期内服治療を行い,症状は速やかに改善,退院後1 年以上,ステロイドとタクロリムスの外用治療で安定した状態を保っている。患者の訴えにゆっくり耳を傾け,彼の社会心理的ストレスを理解し,信頼を得たことで,薬剤のコンプライアンス,治療効果が格段によくなった。AD 患者の診療では,皮膚だけでなく人間を診ることの重要性を再認識した。(皮膚の科学,増18: 53-56, 2012)

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© 2012 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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