2013 年 12 巻 2 号 p. 113-116
73歳,男性。急性骨髄性白血病に対し化学療法中,右側腹部の回腸導管ストマ周囲のパウチ貼付部位にびらんを認めた。その後びらんは上皮化せず潰瘍となり,急速に黒色壊疽となりドーム状に隆起した。壊疽部位の病理組織像では真皮,皮下組織は変性,壊死し,好酸性に染まる菌糸をびまん性に認めた。菌糸は細胞壁が厚く,中隔がなく,細胞質は透けていた。血管内にも菌糸が充満し塞栓を形成していた。菌糸の形態からムコール症と診断した。血管内に菌糸を認めたが抗真菌薬投与は行わず局所処置のみで治癒した。(皮膚の科学,12: 113-116, 2013)