抄録
2013年に各地の医療機関から兵庫医科大学皮膚科に寄せられたマダニ刺症47例の情報のうち,兵庫県内でのマダニ刺症33例を集計した。原因虫はタカサゴキララマダニ32例,フタトゲチマダニ1例であった。患者の性別は男性17例,女性16例,年齢は5~89歳で,60歳台が最多で12例,60歳以降は22例で,全体の67%を占めた。刺咬を受けた場所は全例で山間部ないし畑だった。刺咬を受けた月は5~7月が多く,5月が最多で9例であった。虫体の咬着部位は下半身が64%であった。刺咬部には紅斑を認めない症例が多いが,中には5cm以上の紅斑を認める例があり,Tick-associated rash illness と考えられた。(皮膚の科学,13: 20-25, 2014)