皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
症例
稗粒腫様特発性皮膚石灰沈着症:症例の報告と既報告29例をあわせた発症機序の検討
堀口 裕治
著者情報
ジャーナル 認証あり

2014 年 13 巻 1 号 p. 26-34

詳細
抄録

7歳,男児。10日ほど前から躯幹に丘疹が多発してきた。初診時,右肩と左腸骨稜を中心に,周囲が赤色で直径 1~2mm の白い丘疹が多発していた。組織学的には局所的な表皮肥厚と表皮下のカルシウムの沈着であり,表皮内汗管にも角質とカルシウムの集積があった。血液検査で異常所見はなく,稗粒腫様特発性皮膚石灰沈着症と診断した。既報告29例をあわせて解析し,本症は汗の生成・分泌の失調のために一過性にカルシウムの析出が起こって表皮内汗管に沈着し,一部は真皮に滴落するとともに一部は表皮外に排出されるものであり,さらに,Down 症児に特有な理由によって,本症は Down 症児の手足に生じる場合が多い,と考えた。(皮膚の科学,13: 26-34, 2014)

著者関連情報
© 2014 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top