抄録
49歳,男性。滞日ブラジル人。16年前にハンセン病としてブラジルで12ヶ月間の治療を受け治癒とみなされ,10年前からは日本に滞在している。2ヶ月前から顔面,体幹,四肢に知覚低下を伴う浸潤性紅斑が多発し,組織学的には組織球の一様な浸潤と肉芽腫形成,抗酸菌が認められた。ハンセン病(Ridley-Jopling 分類の mid-borderline(BB)型)と診断して,日本のハンセン病治療指針に従って多剤併用療法/多菌型治療を6ヶ月間行ったところ,紅斑は消褪し,菌検査値も陰性化している。WHO が提唱する治療を行ってもハンセン病の再発率は8%ほどあるという報告もあり,治療終了後も定期的な経過観察が必要と考えられる。(皮膚の科学,13: 426-430, 2014)