皮膚の科学
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13 巻, 6 号
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症例
  • 中川 有夏, 田嶋 佐妃, 浅井 純, 竹中 秀也, 加藤 則人, 山田 稔
    2014 年 13 巻 6 号 p. 415-420
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/02
    ジャーナル 認証あり
    47歳,女性。ウガンダに渡航して7日目に右前腕屈側にそう痒を伴う紅色丘疹が出現した。帰国後,紅色丘疹が増加したため渡航20日目に近医皮膚科を受診した。副腎皮質ステロイド含有軟膏の外用を開始したが,右肩と腰部の紅色結節が増大し疼痛を伴うようになったため,渡航24日目に当院を受診した。数日後紅色結節の中心に虫体を認め,局所麻酔下に4匹の虫体を摘出した。虫体はクロバエ科のヒトクイバエの3齢幼虫と同定した。摘出1ヶ月後,潰瘍は上皮化し,その後症状の再燃は認めていない。ヒトクイバエは衣服や布団などに付着した虫卵を介して寄生する。寄生を予防するためにはヒトクイバエの生息地域への渡航後は衣服にアイロンをかけることが重要であり,ハエ症を疑った際には,身近な人の渡航歴も聴取する必要があると考えた。(皮膚の科学,13: 415-420, 2014)
  • 山内 康平, 大磯 直毅, 成田 智彦, 川田 暁
    2014 年 13 巻 6 号 p. 421-425
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/02
    ジャーナル 認証あり
    71歳,男性。数年前より陰部に紅斑・びらんが出現し,徐々に拡大した。初診時,下腹部から両大腿,陰部に自覚症状のない紅色局面を認めた。生検で表皮内に Paget 細胞の増殖を認め乳房外 Paget 病と診断した。真皮中層から下層に膠原線維の走行の不明瞭化,弾性線維の糸くず状の変性,Elastica van Gieson 染色で弾性線維の変性,Kossa 染色でカルシウム沈着を認めた。病理所見を評価した後に,頸部,鼠径部,大腿部を診察したところ,1~3mm 大の黄色の丘疹が多数集簇していた。頸部病変からも病理組織学的に同様の所見を確認した。乳房外 Paget 病を併発した弾性線維性仮性黄色腫と診断した。高齢でも弾性線維性仮性黄色腫と診断されていない症例が存在しうることに留意すべきであると考えた。(皮膚の科学,13: 421-425, 2014)
  • 岩田 昌史, 松村 由美, 尾崎 元昭, 中永 和枝, 星野 仁彦, 石井 則久, 宮地 良樹
    2014 年 13 巻 6 号 p. 426-430
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/02
    ジャーナル 認証あり
    49歳,男性。滞日ブラジル人。16年前にハンセン病としてブラジルで12ヶ月間の治療を受け治癒とみなされ,10年前からは日本に滞在している。2ヶ月前から顔面,体幹,四肢に知覚低下を伴う浸潤性紅斑が多発し,組織学的には組織球の一様な浸潤と肉芽腫形成,抗酸菌が認められた。ハンセン病(Ridley-Jopling 分類の mid-borderline(BB)型)と診断して,日本のハンセン病治療指針に従って多剤併用療法/多菌型治療を6ヶ月間行ったところ,紅斑は消褪し,菌検査値も陰性化している。WHO が提唱する治療を行ってもハンセン病の再発率は8%ほどあるという報告もあり,治療終了後も定期的な経過観察が必要と考えられる。(皮膚の科学,13: 426-430, 2014)
  • 志賀 久里子, 大磯 直毅, 川田 暁, 比留間 政太郎
    2014 年 13 巻 6 号 p. 431-434
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/02
    ジャーナル 認証あり
    10歳,女児。初診の2ヶ月前より頭部に脱毛が出現し,近医数ヶ所にて円形脱毛症の診断でステロイド外用の治療を開始された。その後脱毛が拡大し,びらん・膿疱・結節を認めたため当科を初診。患部の毛髪の直接検鏡にて菌糸と胞子を確認した。巨大培養で放射状に拡大したクリーム色コロニーを確認し,さらにスライドカルチャーにて細胞壁の肥厚した紡錘形の大分生子を認めた。Ribosomal DNA の internal transcribed spacer 1領域の遺伝子配列を polymerase chain reaction で増幅し,ダイレクトシークエンスで解析した。Microsporum canis,Arthroderma otae 系統株の遺伝子配列と100%の相同性を認めた。以上の臨床像・真菌培養同定・真菌の遺伝子解析結果から Microsporum canis によるケルスス禿瘡と診断した。イトラコナゾールのパルス療法(5mg/kg/日を7日間)を3クール施行し皮疹は略治した。小児の頭部白癬における内服抗真菌剤の投与量や投与期間については,本邦では明確な指針がなく,その効果や安全性については今後の症例の集積が望まれる。(皮膚の科学,13: 431-434, 2014)
  • 東 禹彦
    2014 年 13 巻 6 号 p. 435-438
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/05/02
    ジャーナル 認証あり
    58歳,女性。イブA内服後に両眼瞼と口周囲に紅斑を生じたため受診した。ワセリンを基剤としたアリルイソプロピルアセチル尿素(1%濃度)を用いた皮疹部の塗布試験で陽性であった。アリルイソプロピルアセチル尿素を含む薬剤を服用しないように指導した。1年3ヶ月後にカフコデN他4剤を内服後に前回と同じ部位に皮疹を生じて受診した。1%ブロモバレリル尿素・ワセリンの皮疹部での塗布試験が陽性であった。アリルイソプロピルアセチル尿素とブロモバレリル尿素は類似の構造を示すので,交差反応をしたものと考えた。原因検索にワセリンを基剤とする塗布試験が有用であった。(皮膚の科学,13: 435-438, 2014)
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