2003 年 2 巻 2 号 p. 112-115
症例1,23歳男性。症例2,22歳女性。2例とも左手掌に黒色色素斑を認めた。
直接鏡検では,隔壁を有し,分枝した褐色菌糸を認めた。サブロー・ブドウ糖寒天培地で培養4週目,短絨毛状を呈する灰黒色の巨大な酵母様集落を形成した。スライド培養では隔壁を有する褐色菌糸と楕円形の分生子を認めた。菌糸の側壁から分生子が産生されている所見もみられた。PAS染色では,表皮角層内に赤紫色の胞子,菌糸が多数みられ,HE染色では,茶褐色でやや不鮮明な像がみられた。角質の増殖はなく,表皮細胞層、真皮に異常はない。顆粒層以下の表皮,真皮には菌要素は全く認められなかった。ケトコナゾールクリーム外用で4週間程度で治癒した。