皮膚の科学
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2 巻, 2 号
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カラーライブラリー
研究
症例
  • 若森 健, 竹中 秀也, 上田 英一郎, 加藤 則人, 岸本 三郎
    2003 年 2 巻 2 号 p. 94-98
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル 認証あり
    48歳,女性と51歳,男性の慢性放射線皮膚炎に生じた基底細胞癌の2例を報告した。2例とも幼少時,頬部の血管腫に対し放射線治療を受けていた。以後照射部位は慢性放射線皮膚炎となり,同部位に基底細胞癌を発症した。慢性放射線皮膚炎に生じた皮膚悪性腫瘍を集計すると,組織病型は症例数の多い順にSCC,BCC,肉腫,Bowen病を含む表皮内癌と続き,重複癌ではSCCとBCCとの合併が最多であった。全体数として近年増加傾向にあり,特に自験例のように良性疾患に対する放射線療法後に生じるBCCは増加している。
  • 良田 陽子, 鬼頭 昭彦, 西村 陽一, 田中 俊宏
    2003 年 2 巻 2 号 p. 99-102
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル 認証あり
    67歳男性。腹部の母指頭大結節を主訴として受診した。結節は境界明瞭で表面平滑,弾性硬,軽度の圧痛を伴っていた。病理組織では表皮直下から皮下にかけて境界明瞭な細胞集塊を認め,腫瘍細胞は細胞質に好酸性顆粒を充満し,大型の胞体が豊富であった。免疫組織学的にS-100蛋白,NSE,PAS,diastase-PASが陽性を示した。以上の所見からgranular cell tumorと診断した。またこれらの所見はSchwann細胞由来説を支持するものであった。
  • 矢敷 敦, 宮川 幸子
    2003 年 2 巻 2 号 p. 103-105
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル 認証あり
    64歳,女性。初診の1週間前より右膝外側に自覚症状を伴わない弾性硬,可動性を有し皮下を移動する結節を認めた。手術時,周囲組織との癒着のない表面平滑な黄白色の結節として摘出された。 病理組織学的には脂肪細胞を結合線維性被膜で被包し,内部は大部分が成熟脂肪細胞で構成された像を呈していた。特異的な臨床像および病理組織像より,Mobile encapsulated lipomaと診断した。
  • 良田 陽子, 鬼頭 昭彦, 西村 陽一, 田中 俊宏, 田邉 洋, 佐山 重敏
    2003 年 2 巻 2 号 p. 106-111
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル 認証あり
    7歳,女児。平成10年7月21日初診。2ヵ月前より鼻尖部に紅斑が出現し,徐々に拡大。初診時,鼻尖部に長径2cmの紅色ドーム状でその上に小腫瘤をもち,一部糜爛を形成する弾性軟の腫瘤がみられた。皮膚生検をしたところ小型で多形性を伴うN/C比の高い異型細胞が真皮に密に増殖し,免疫組織学的にケラチンやリンパ球系マーカーには陰性で,vimentinが強陽性,desmin,HHF35,myoglobinが一部の細胞で陽性であったことから横紋筋肉腫と診断した。外科的切除,化学療法,放射線照射を行ったが効果なく,肺,肝臓,腰椎,右大腿骨に転移し,平成13年2月8日永眠した。
  • 寺澤 直子, 花田 圭司, 小西 啓介
    2003 年 2 巻 2 号 p. 112-115
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル 認証あり
    症例1,23歳男性。症例2,22歳女性。2例とも左手掌に黒色色素斑を認めた。
    直接鏡検では,隔壁を有し,分枝した褐色菌糸を認めた。サブロー・ブドウ糖寒天培地で培養4週目,短絨毛状を呈する灰黒色の巨大な酵母様集落を形成した。スライド培養では隔壁を有する褐色菌糸と楕円形の分生子を認めた。菌糸の側壁から分生子が産生されている所見もみられた。PAS染色では,表皮角層内に赤紫色の胞子,菌糸が多数みられ,HE染色では,茶褐色でやや不鮮明な像がみられた。角質の増殖はなく,表皮細胞層、真皮に異常はない。顆粒層以下の表皮,真皮には菌要素は全く認められなかった。ケトコナゾールクリーム外用で4週間程度で治癒した。
  • 若森 健, 上田 英一郎, 竹中 秀也, 加藤 則人, 岸本 三郎
    2003 年 2 巻 2 号 p. 116-120
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル 認証あり
    1985年1月から1997年12月までの13年間に,当科及び当教室関連施設で病理組織学的に血管肉腫と診断し治療を行った15例を対象として臨床的に検討した。その結果,初診時において予後の悪さを示唆する共通した臨床像は,男性,高年齢発症,頭部発症,広範囲に広がる浸潤の強い紅斑,増大傾向の強い出血を伴う複数の腫瘤を認めることであった。
使用試験
  • 中村 正, 高橋 昭彦, 石田 耕一, 佐藤 広隆, 水野 惇子
    2003 年 2 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎及び乾皮症の乾燥した顔面に対し,セラミド類似合成脂質含有クリーム「キュレル®フェイスクリームエフェクティブ」を外用しその有用性と安全性を検討した。その結果,多くの被験者において皮膚状態の改善が認められ,特に乾燥症状の改善が顕著であった。有用性の判定を行ったところ,31例中29例(94%)がやや有用以上であった。また,セラミド類似合成脂質含有クリーム使用に起因すると考えられる明らかな副作用は1例も認められなかった。
    以上よりセラミド類似合成脂質含有クリームは,アトピー性皮膚炎のようなバリア機能の低下し乾燥した顔面の皮膚に対し,高い有用性と安全性を有していることが明かになった。
  • 尾藤 利憲, 坂井 瑠実, 今井 信行, 久保 充, 大澤 一郎, 片山 正哉, 鈴木 康仁, 市橋 正光
    2003 年 2 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 2003年
    公開日: 2011/11/07
    ジャーナル 認証あり
    透析患者に生じる皮膚そう痒症はしばしば激しく,また難治性であり,様々な治療が試されているが,いまだ的確な治療法は確立されていない。今回,我々は,グリセリン含有卵殻,膜末(卵殻末および卵膜末)水溶液入り化粧水の腎透析患者における皮膚そう痒症に対する効果について検討した。対象は,腎不全の結果,透析を受けることになった患者で,そう痒症以外の皮膚疾患を有する者は除外した。外用はそう痒部位への1日3回で,使用前,使用後の皮膚症状(痒み,掻破痕,乾燥)ついて調査した。その結果,4週間後には,グリセリン含有卵殻・膜末水溶液入り化粧水の外用により,痒み,掻破痕,乾燥ともに70%以上の改善度を示し,全般的有用度68.9%,さらにやや有用を含めると90%以上の有用度との結果を得た。
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