皮膚の科学
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症例
片側下肢に皮疹の出没をみた Bazin 硬結性紅斑の 1 例
大桑 槙子中村 敬
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2022 年 21 巻 1 号 p. 6-9

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抄録

77歳,女性。初診 1 ヶ月前から右下腿伸側に有痛性の浸潤性紅斑が出現した。ステロイド外用を行い潰瘍化せず一旦消退したが,間もなく内側に同様の新規病変が出現,屈側へ拡大し難治となった。 皮膚生検で乾酪壊死を伴わない脂肪織小葉の肉芽腫性炎症を認め,27年前に肺結核治療歴があり TSPOTR 陽性,ツベルクリン反応陽性であった。活動性結核は明らかでなかった。呼吸器内科併診にて抗結核薬 4 剤の内服を開始すると約 3 ヶ月で皮疹は概ね軽快し,Bazin 硬結性紅斑(EI)と診断した。近年,非典型的な EI の報告が増加傾向にある。背景に患者の高齢化や薬剤,基礎疾患による宿主の免疫状態の変化があると考えられている。本症例も 2 度の悪性腫瘍既往や高齢発症であることが,非典型的な臨床像に寄与した可能性を考える。本例では,皮疹が片側性であることや一旦寛解したようにみえたことから診断と治療が遅れたという反省点がある。非典型例の存在を含めて EI の特性を熟知することが,早期の治療介入に重要と思われた。 (皮膚の科学,21 : 6-9, 2022)

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© 2022 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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