皮膚の科学
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症例
左第 1 趾腹に生じた symplastic glomus tumor の 1 例
来田 英伸菊澤 千秋文 省太出野 りか子池田 彩小澤 健太郎北村 三和
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2022 年 21 巻 2 号 p. 114-118

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抄録

74歳男性。 6 年前より生じた左第 1 趾腹の有痛性腫瘤を主訴に当科を紹介受診した。左第 1 趾腹に6×5mmの表面が紅色調で軽度の圧痛を伴う弾性硬の下床との可動性良好な腫瘤を認めた。皮膚超音波検査では低エコー性腫瘤が存在し,血流信号は認めず,グロムス腫瘍を疑い全切除した。病理組織学的には真皮から皮下組織にかけて境界明瞭な結節性病変を認め,核の濃染や大小不同が目立つ好酸性胞体を持つ円形細胞のシート状の増殖を認めたが,核分裂像増加や異常核分裂は認めなかった。 一部には核異型のない典型的なグロムス腫瘍の所見も認めた。免疫組織化学では α-SMA がびまん性に陽性で,Ki-67mib-1)陽性細胞は 1 %以下であった。以上より,グロムス腫瘍の特殊型であるsymplastic glomus tumor と診断した。symplastic glomus tumor は強い核異型を認めるが,浅在性かつ小型の境界明瞭な病変で,核分裂像増加や異常核分裂像を示さない良性腫瘍である。非常に稀な腫瘍であるが,本腫瘍の存在を認識して適切に診断する必要がある。 (皮膚の科学,21 : 114-118, 2022)

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© 2022 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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