2022 年 21 巻 2 号 p. 98-102
症例は63歳,男性。当院受診の10年前に,背部左側に 2cm程度の皮下結節に気が付いた。 5 年前より圧痛を伴うようになり,徐々に増大したため当院を受診した。局所麻酔下に皮下組織に存在した腫瘍を摘出したが,腫瘍の境界は比較的明瞭で,黄色調の充実性腫瘍であった。病理組織学的所見では,異型がやや目立つ紡錘形細胞や多形細胞,脂肪芽細胞,成熟した脂肪細胞が病変部内において様々な分布を示し,間質は線維性や粘液様であったり多様であった。また,免疫組織化学染色で腫瘍細胞は CDK4 陽性,MDM2 陰性,RB1 陰性であった。以上の所見より atypical spindle cell/pleomorphic lipomatous tumor と診断した。本症は良性の脂肪細胞性腫瘍として,2020年の WHO 分類から新しく概念が変更された比較的稀な疾患であり,今後の症例の蓄積が必要と思われる。 (皮膚の科学,21 : 98-102, 2022)