皮膚の科学
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症例
White Fibrous Papulosis of the Neck の 1 例
小野 祥子金田 一真森脇 真一
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2022 年 21 巻 3 号 p. 181-186

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抄録

71歳,女性。約 2 年前より頸部に白色の小丘疹を自覚し,消退しないため当科を受診した。初診時,頸部に 14mm大の白色小丘疹が散在していた。個疹は弾性やや硬,表面平滑で,毛包非一致性であった。ダーモスコピーでは境界不明瞭な白色の無構造領域がみられ,病理組織学的に真皮上層から中層にかけて膠原線維の粗大化と増加をみとめた。Elastica van Gieson 染色では弾性線維の変性はなく,Kossa 染色ではカルシウム沈着を認めなかった。臨床症状,病理組織学的所見より,自験例を white brous papulosis of the neckWFPN)と診断した。本症の発症機序は生理的老化に伴う膠原線維の構造変化が考えられているが,WFPN の報告例は少なく,生理的老化だけでは発症頻度の低さが説明困難である。今後症例の蓄積により,遺伝的素因や基礎疾患など,生理的老化以外の要因の評価が必要であると考える。 (皮膚の科学,21 : 181-186, 2022)

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© 2022 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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