2022 年 21 巻 4 号 p. 300-306
症例は91歳男性。両下腿に類円形で弾性硬の大小の紅色腫瘤を認め当科受診。病理組織学的に,核異型を伴う大型細胞が表皮直下から真皮中層にかけてびまん性に密に増殖しており,免疫染色ではCD20(+),CD10(−),BCL2(+),BCL6(−),MUM1(+),C-MYC(+),Ki-67 標識率85%であり,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫,non-GCB(non-germinal center B-cell)type と診断した。詳細な問診により 7 年前に鼻腔原発びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の加療歴が判明した。 鼻腔に再発病変が確認され,鼻腔原発びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の再発および下腿浸潤と考えた。過去の治療歴や高齢であることから R-THP-COP 療法(リツキシマブ,ピラルビシン,シクロフォスファミド,ビンクリスチン,プレドニゾロン)を選択した。 2 コース投与後腫瘍は縮小したが下痢のため継続困難であり,プレドニゾロンとエトポシド内服に変更し電子線照射を併用したところ更なる治療効果が確認できた。免疫組織化学的には予後不良因子を有する高齢症例であったが,治療が比較的奏効した。 (皮膚の科学,21 : 300-306, 2022)