2022 年 21 巻 4 号 p. 321-327
症例は67歳女性,40年前より後頭部に腫瘤を自覚していたが徐々に増大したため当科受診した。後頭部にテニスボール大の下床との可動性がやや不良の弾性軟の皮下腫瘤を認めた。超音波検査では内部に線状の高エコーを伴う紡錘形低エコー腫瘤を認め脂肪腫が疑われたが,一部頭蓋骨の陥凹を伴い,同部位に血流の増加も認めた。CT,MRI では腫瘤と接する頭蓋骨外板は一部欠損するものの,内板は薄く保たれ,頭蓋内への進展は認めなかった。皮膚生検にて脂肪腫であることを確認し全摘出した。その後 5 年経過するが再発を認めていない。骨内脂肪腫は稀な骨腫瘍であり,本症例は頭蓋冠に発生した骨内脂肪腫が外板を破壊し皮下に進展し増大したものと考えた。調べ得た限りで頭蓋冠に発生した骨内脂肪腫は14例,その中で骨破壊を伴ったものは 1 例のみであり,非常に稀な症例と思われた。 (皮膚の科学,21 : 321-327, 2022)