皮膚の科学
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症例
濾胞性リンパ腫患者に生じた eosinophilic dermatosis of hematologic malignancy の1 例
岩立 和子猿田 祐輔末木 博彦猪又 直子
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2023 年 22 巻 3 号 p. 224-230

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抄録

71歳,男性。 4 年前左眼球原発の濾胞性リンパ腫を発症し,NHLNon-Hodgkin’s Lymphoma)RB 療法(リツキシマブ・ベンダムスチン)に続き,NHL-ベンダムスチン療法施行中。 1 ヶ月前頭部背部に瘙痒を伴う浸潤性紅斑と丘疹が出現し当科を紹介受診した。急性痒疹と診断し副腎皮質ステロイド薬外用と第 2 世代抗ヒスタミン薬内服を開始した。 3 ヶ月後からおもに顔面に瘙痒を自覚後に紅斑が出現し 1 週間程度で消退するという経過を繰り返した。症状が顕著になった 1 10ヶ月後にリンパ腫の皮膚浸潤等との鑑別のため皮膚生検を施行した。病理組織学的に真皮から皮下組織にリンパ球を主体とした細胞浸潤の中に脱顆粒を伴う好酸球の浸潤がみられたが,明らかな ame gure はなかった。臨床所見と合わせ eosinophilic dermatosis of hematologic malignancy と診断した。NHLGB 療法(オビヌツマブ・ベンダムスチン(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(mPSL),デキサメタゾンを含む))や NHL-オビヌツマブ療法(mPSL を含む)の各クールを終えた直後は皮疹が改善した。リンパ腫の経過が良好で NHL-オビヌツマブ療法を一旦終了すると,下肢に新規病変が出現したことより濾胞性リンパ腫の治療で併用される副腎皮質ステロイド薬の投与が皮疹の改善に一定の効果があったと考えた。 (皮膚の科学,22 : 224-230, 2023)

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© 2023 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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