抄録
46歳男性,初診2ヵ月前に近医で胃病変を指摘された。初診5ヵ月前から右前額部,左頚部に皮膚結節が出現した。切除生検病理組織像で異型な紡錘形の腫瘍細胞の集塊がみられ,免疫染色ではSMA陽性,CD34とKITは陰性であった。画像検査で内臓に多発転移があり,胃,腸,腎臓の生検から平滑筋肉腫と診断された。その後も皮膚腫瘍が新生し,これらを切除し皮膚転移と診断した。11ヵ月後には転移と思われる38ヵ所の皮膚,皮下腫瘍が出現し,その1ヵ月後永眠された。剖検の結果,左腎原発の平滑筋肉腫と全身転移が確認された。平滑筋肉腫の皮膚転移はまれであるが,自験例では内臓原発の平滑筋肉腫から40ヵ所近くの転移が見られた。