抄録
17歳,男性。13歳時に仙骨部のEwing肉腫を発症し,15歳時に仙腸骨部腫瘍切除術およびinstrumentation(金属ボルト及びプレートによる固定術)を施行された。初診の半年前より腫瘍切除による両坐骨神経麻痺から臥床生活となった。仙骨部の金属ボルトの突出した部位に一致した潰瘍を認め,当科を受診した。ボルトの摘出は難しいと判断し,保存的処置を行うことにした。処置にあたり,金属ボルトが骨盤を支えるプレートに連続していることから感染に対する対策が必要と考えた。連日,当科において処置を行い,可能な限りの除圧を行った。腫瘍死に至るまでの約8ヵ月間,局所に感染を起こすことなく経過した。