抄録
9歳,女児。3ヶ月前より左下肢内側に,扁平な丘疹と小紅斑が多発し,また一部は融合して不整形な局面となり,Blaschko line に沿って幅ひろく帯状に分布した。病理検査により,表皮では軽度のリンパ球遊走,真皮中層から深層には血管周囲性のリンパ球浸潤を認めた。発症から約1年で自然治癒した。以上より blaschkitis の小児発症例と診断した。Blaschkitis は,当初からその独立性にたいして議論のある疾患であり,その中でも特に古典的線状苔癬 (LS) の亜型とされる成人発症 LS と blaschkitis の鑑別が困難な点が問題と考えられている。我々は,blaschkitis は成人発症 LS を包含し,古典的 LS とは異なる疾患と考える。