皮膚の科学
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9 巻 , 2 号
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症例
  • 立石 千晴, 中川 浩一, 梶本 敦子, 岸田 大, 曽和 順子, 鶴田 大輔, 小林 裕美, 石井 正光
    2010 年 9 巻 2 号 p. 119-122
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
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    43歳,女性。セコガニ(雌ズワイガニ)の味噌汁を摂食して2時間後に入浴し,その後就寝したところ,摂食の7時間後に全身に蕁麻疹が生じた。レスタミンコーワ糖衣錠®を内服して皮疹はいったん消退したが,同9時間後にかゆみで覚醒し,短時間の意識消失および嘔吐と下痢を認めた。即時型の症状を伴わない遅発性アナフィラキシーと考えた。回復後,セコガニを用いてプリックテストとスクラッチテストを行ったところ,外子(受精卵)で陽性,内子(卵巣)で陰性,ミソ(肝・膵臓)で陰性であった。さらに,雄のズワイガニ,タラバガニ,ケガニの筋肉を用いて同テストを行ったところ,雄ズワイガニとケガニのスクラッチテストのみ陽性であった。その理由はタラバガニがヤドカリの仲間であり,カニ類との交叉性が低かったためと推測した。
  • 中溝 聡, 松村 由美, 遠藤 雄一郎, 加藤 真弓, 是枝 哲, 川端 浩, 宮地 良樹
    2010 年 9 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
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    60歳,女性。口腔内と肛門周囲にびらんが生じ,当科を受診した。生検により扁平苔癬と診断され,ステロイド剤の外用にて経過は良好であった。しかし,初診の3年8ヶ月後に口腔内潰瘍多発,白苔付着により摂食不良となり当科に入院した。陰部潰瘍も増悪し,発熱と下痢(便潜血陽性),貧血を認めた。白苔からカンジダが検出され,抗真菌薬の投与により1週間で症状はいったん軽度改善したが,間もなく口腔内潰瘍の増悪を認め,再び発熱と下痢,貧血を伴った。採血にて単球の増加を認めたため骨髄穿刺を施行し,第8トリソミー陽性の骨髄異形成症候群 (MDS) と診断した。MDS に伴う口腔内・陰部潰瘍であると判断し,ステロイド内服開始したところ症状改善した。
  • 田中 紅, 菅谷 直樹, 清水 善徳, 松永 佳世子
    2010 年 9 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
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    Sweet 症候群ではステロイド剤の全身投与が治療の第1選択とされており,その効果はよく知られているが,ステロイド剤が使用しにくい基礎疾患をもつ症例では,ステロイド剤以外の薬剤の使用が推奨される。ヨウ化カリウムの内服は古い歴史をもつ治療法であり,皮膚疾患にも著効を示すものがいくつかある。今回,ヨウ化カリウムが著効した Sweet 症候群の1例を経験した。ヨウ化カリウム内服にて皮疹は速やかに消退し,炎症反応も改善した。
  • 吉見 宣子, 夏秋 優, 樽谷 勝仁, 山西 清文
    2010 年 9 巻 2 号 p. 132-136
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
    ジャーナル 認証あり
    37歳,男性。漢方薬内服後に全身に紅斑が出現した既往がある。鼻炎症状に対し,市販鼻炎薬(ジキナ®鼻炎カプセル)を内服した後,39度の発熱と体幹と四肢に紅斑や小膿疱が出現した。血液検査では白血球増多を認め,病理組織学的に表皮内に好中球からなる膿疱を認めた。プレドニゾロン 30mg/日の内服加療を開始し,12日間で略治した。初診時に行ったジキナ®による薬剤リンパ球刺激試験は陰性であったが,皮疹軽快後にジキナ®およびジキナ®中の構成成分(プソイドエフェドリン塩酸塩を除く),およびプソイドエフェドリンを含有する生薬である麻黄を配合した漢方薬(麻黄湯)を用いてパッチテストを施行したところ,ジキナ®および麻黄湯が陽性で,他はすべて陰性であった。以上より,ジキナ®に含まれるプソイドエフェドリン塩酸塩による急性汎発性発疹性膿疱症と診断した。
  • 大黒 奈津子, 福本 隆也, 小林 信彦, 浅田 秀夫, 大山 文悟, 橋本 隆
    2010 年 9 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
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    76歳,女性。3年前から四肢に紅斑と小水疱が出現した。近医にてプレドニゾロンの内服で加療されていたが,水疱と紅斑の新生が抑えられなくなってきたため当科を受診した。初診時には下肢に大小の褐色局面が散在し,一部には痂皮があり辺縁に小水疱と膿疱を認めた。小水疱が環状に配列するいわゆる“ひまわりの花弁状配列”を呈していた。粘膜病変は認めなかった。膿疱部の病理組織検査では表皮中層から下層にかけて好中球による膿疱を認め,真皮上層にも好中球の微小膿瘍を認めた。蛍光抗体直接法では表皮全層の表皮細胞間に IgA の沈着を認めた。Intraepidermal neutrophilic dermatosis 型の IgA 天疱瘡と診断し,DDS 50mg/日の内服を追加したところ皮疹は色素沈着を残してすみやかに軽快した。
  • 横山 侑祐, 山北 高志, 伊佐見 真実子, 清水 善徳, 矢上 晶子, 松永 佳世子
    2010 年 9 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
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    患者1:55歳,男性。患者2:76歳,男性。患者3:91歳,男性。それぞれ近医にて抗ヒスタミン薬,ステロイド外用薬,ステロイド内服薬などを処方されていたが難治の皮疹を主訴に来院した。3例とも湿潤しない充実性丘疹と大きな皺に一致した皮疹の欠如を示しており,丘疹-紅皮症と診断した。悪性腫瘍の合併は否定的であった。これら3例に対しナローバンド UVB 療法を施行し,計4~7回の照射で皮疹や自覚症状の軽減を得ることができ,約10回で皮疹はほぼ消失した。その後,軽度の増悪を認めたものの,3例とも照射終了から現在に至るまで皮疹の再燃は認めていない。その他の治療と比べ,その簡便さ,副作用の少なさから丘疹-紅皮症に対しナローバンド UVB 療法は有用な治療法であると考えた。
  • 小嶌 綾子, 加藤 真弓, 宮地 良樹, 宇谷 厚志
    2010 年 9 巻 2 号 p. 147-150
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
    ジャーナル 認証あり
    9歳,女児。3ヶ月前より左下肢内側に,扁平な丘疹と小紅斑が多発し,また一部は融合して不整形な局面となり,Blaschko line に沿って幅ひろく帯状に分布した。病理検査により,表皮では軽度のリンパ球遊走,真皮中層から深層には血管周囲性のリンパ球浸潤を認めた。発症から約1年で自然治癒した。以上より blaschkitis の小児発症例と診断した。Blaschkitis は,当初からその独立性にたいして議論のある疾患であり,その中でも特に古典的線状苔癬 (LS) の亜型とされる成人発症 LS と blaschkitis の鑑別が困難な点が問題と考えられている。我々は,blaschkitis は成人発症 LS を包含し,古典的 LS とは異なる疾患と考える。
  • 渡邊 愛子, 巽 一啓, 庄田 裕紀子
    2010 年 9 巻 2 号 p. 151-153
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
    ジャーナル 認証あり
    Bowen 病は日常診療において比較的よくみられる疾患であるが,肛門部に発生することは稀である。今回,我々は肛門部 Bowen 病の1例を経験したので報告する。症例は50歳,男性。肛門部に浸軟した白色腫瘤を認め,生検により Bowen 病と診断し,腰椎麻酔下でマージン 1cm をとり,拡大切除術をおこなった。PCR 法により HPV-16 が検出された。(皮膚の科学,9: 151-153, 2010)
  • 中富 瑠璃子, 上田 英一郎, 竹中 秀也, 岸本 三郎
    2010 年 9 巻 2 号 p. 154-157
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
    ジャーナル 認証あり
    1992年から2006年までの15年間に当科を受診した乳房外 Paget 病患者は合計73例であり,この15年間で増加傾向を認めた。初診時の年齢は45~90歳(平均72.3歳)で男女比は1.7:1であった。発生部位は外陰部64例,肛囲3例,腋窩2例,下腹部2例,腋窩と外陰部の重複例1例,腋窩と下腹部の重複例1例であった。5年生存率は,ステージ IA,IB は100%,ステージIIは88.9%,ステージIIIは48%,ステージIVは0%であった。真皮内浸潤,CEA 高値,リンパ節転移を認めたものは予後が不良であった。(皮膚の科学,9: 154-157, 2010)
  • 中富 瑠璃子, 上田 英一郎, 竹中 秀也, 岸本 三郎
    2010 年 9 巻 2 号 p. 158-162
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
    ジャーナル 認証あり
    1992年から2006年までの15年間に上皮系皮膚悪性腫瘍は合計680例あり,基底細胞癌が264例,Bowen 病が163例,日光角化症が135例,有棘細胞癌が118例であった。これらの症例数,性差,年齢,発生部位の変化などを過去の統計と比較検討した。
  • 立石 千晴, 小林 裕美, 水野 信之, 鶴田 大輔, 竹村 宏代, 大澤 政彦, 石井 正光
    2010 年 9 巻 2 号 p. 163-167
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
    ジャーナル 認証あり
    68歳,女性。2003年9月,前額部にそう痒を伴う紅色丘疹および結節が出現した。前額部の病理組織像は,真皮全層に主として単核球からなる稠密な細胞浸潤がみられ,濾胞様構造を呈していた。浸潤細胞に明らかな異型性は認められず,B細胞を主体とした濾胞様構造の辺縁部にT細胞が分布していた。皮膚B細胞偽リンパ腫と診断し,ミノサイクリンなどの内服を行ったが改善せず,2005年8月には両頬部にも紅斑が出現した。右頬部の病理組織学的検査にても前額部と同様の細胞浸潤が認められ,サザンブロット法による免疫グロブリンH鎖および T cell receptor (TCR) の遺伝子再構成を検索したが,単クローン性の再構成はみられなかった。以上より,皮膚B細胞偽リンパ腫と診断した。今後悪性リンパ腫へ移行する可能性も考えて,慎重に経過観察を続けている。
  • 本田 真一朗, 藤本 徳毅, 田中 俊宏, 長尾 大志
    2010 年 9 巻 2 号 p. 168-172
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
    ジャーナル 認証あり
    76歳,男性。肺腺癌に対しエルロチニブ 150mg/日を内服し,8日目より顔面に紅班,丘疹および膿疱が出現した。エルロチニブによるざ瘡様発疹と診断しマイルドクラス,ベリーストロングクラスのステロイド外用剤を使用したところ,ベリーストロングクラスのステロイド外用剤がより効果を示した。ステロイド外用剤による対症療法でエルロチニブ内服を中止することなく顔面の皮疹は略治した。EGF 受容体を阻害する分子標的治療薬によって起こる皮膚障害は,可能であれば薬剤を継続しながら皮膚症状をコントロールすることが望まれる。
  • 南部 昌之, 藤井 俊樹, 阿部 真也, 河崎 昌子, 望月 隆
    2010 年 9 巻 2 号 p. 173-179
    発行日: 2010/04/30
    公開日: 2011/05/26
    ジャーナル 認証あり
    72歳,男性。重複癌で腫瘍切除後,水疱性類天疱瘡を発症し,プレドニゾロン 18mgとシクロスポリン 50mg,5-フルオロウラシル 100mg を内服中である。2008年12月中旬,舗装道路で転倒後,左手背に自覚症状のない腫脹が出現した。2009年1月の受診時には左手背から左3,4指背にかけて褐紅色の腫脹を認め,その中に波動を触れる大小の結節が存在した。一部の結節は表面に痂皮が付着し,圧すると排膿がある。局所熱感はない。病理組織では真皮中層に好中球と組織球の浸潤を認め,PAS 染色で胞子連鎖を認めた。膿および痂皮の真菌培養で黒色短絨毛状真菌の発育がみられ,Exophiala jeanselmei と同定した。シクロスポリンを中止のうえ,塩酸テルビナフィン 125mg の内服と局所温熱療法を開始し,約1ヶ月で略治した。
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