抄録
中国の伝統的漢方薬である「益気養血扶正剤」(オウギ,ジュクジオウ,トウキ,ジュクシャ,タイソウ,ロクジョウの6種類から構成される:以下EYFZと略す)が抗腫瘍活性を示すことを,担癌マウスの延命効果,NK活性促進並びにマクロファージ細胞株J774.1細胞機能活性化から明らかにしたので,本研究では特にヒトの末梢血中のリンパ球機能に着目し,in vitroでEYFZがリンパ球機能にいかなる影響を及ぼすかについて追究した.最初に,分離した末梢血中のリンパ球増殖に対する影響をMTTアッセイで調べた結果,EYFZはマイトーゲンが存在していない条件下でも著しくリンパ球の増殖を引き起こすことがわかった.さらに,リンパ球由来サイトカインであるインターロイキンー2(IL-2),IL-4及びインターフェロン-γ(IFN-γ)の産生に対するEYFZの影響をRT-PCR法並びにELISA法によって検討した.その結果,EYFZは特にINF−γmRNAのみの誘導とIFN-γのみの産生を引き起こす効果のあることが判明した.このINF−γがいかなる種類のリンパ球由来したものかを同定するために,抗CD4抗体と抗CD8抗体を用いて阻害実験を行った結果,これらの抗体によってINF−γの産生は阻害されることがわかった.以上の結果から,EYFZにはヒト末梢血中のCD4+あるいはCD8+のTリンパ球を芽球化すると同時に,INF−γの産生を促進してTh1優位を引き起こす結果細胞性免疫を高める効果のあることが強く示唆された.