抄録
本研究は,異年齢保育における多層的な関係性について,正統的周辺参加論を援用し明らかにすることを目的とした。3・4・5歳児の異年齢クラスの3歳児3名を対象として,ビデオを用いた参与観察を行い,異年齢の仲間への働きかけを分類し,エピソード分析を行った。その結果,3歳児の同年齢の仲間への働きかけ方略が,異年齢児相手にもみられると共に,新たに見出した働きかけ方略も用いていた。3歳児の主体的な「参加」の背景には,3歳児自身がもつ興味関心とそれを支える関係の網の目が存在した。これまで「ケアされる」立場とされてきた年下の子どもが主体的に「参加」していること,その「参加」には共同体との多層的な関係があることが明らかになった。