抄録
Systemic Epstein-Barr virus(EBV)-positive T-cell lymphoma(TCL)は小児期に多いが,稀に成人でも発症する.今回,成人慢性白血病(CML)に対しチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)で加療中の患者に発症したEBV-positive TCLを経験した.CMLに対しニロチニブ(TKI)で2年間加療が行われ,分子生物学的寛解の状態であった.入院2ヶ月前より頸部リンパ節腫脹,感冒様症状がみられ,末梢血の単核球中にEBVの高い増殖を認めた.リンパ節生検で,CD8陽性の異型リンパ球にEBVの感染が確認された.全身でのEBVの再活性化,EBV陽性T細胞性リンパ腫の所見から,systemic EBV-positive TCLと診断した.化学療法後の造血幹細胞移植が本症例において有効であった.TKIはT細胞の免疫応答を阻害する報告があり,本症例でsystemic EBV-positive TCLの発症に関与した可能性がある.