バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
運動学習とリハビリテーション(<特集>運動学習)
道免 和久
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 25 巻 4 号 p. 177-182

詳細
抄録

リハビリテーション(以下リハビリ)で重要な運動学習の概念を整理し,脳研究から明らかになった運動学習理論のリハビリ治療への応用を紹介した.古くからリハビリにおける運動学習で重要と言われてきたエングラムの概念は,現代の運動学習理論では,教師あり熟練学習における内部モデルの構築や順序学習の中に見いだすことができる.そのうち,内部モデルの再構築をめざす運動療法をフィードフォワード運動訓練と名付け,大脳錐体路障害の片麻痺患者の患側上肢で実践した.その結果,フィードバック誤差学習の回路が残存する例では,運動課題の繰り返しによって,徐々に運動のなめらかさの指標が向上し,運動学習が成り立つことがわかった.今後,運動学習理論をリハビリ治療の中で再検討することが重要である.

著者関連情報
© 2001 バイオメカニズム学会
前の記事
feedback
Top