我々は日常の何気ない動作の中で実に巧みに複合的で階層的な運動を行っている.例えば,テニスをするにはボールの回転や着地点といった目的が存在し,その目的を実現するための個々の動作は更に多くの要素運動の複雑な組み合わせで構成されている.本稿ではこのような階層的運動の学習機構の解明を目指し我々が計算論的立場から行っている研究について解説する.特に予測モデルを用いた行動の結果予測と,制御モデルによる実際の制御を組み合わせて学習制御を行うMOSAICアーキテクテャに焦点を絞り,その基本動作原理,シミュレーション,任意の階層構造への拡張等について紹介することとしたい.