バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
ショートペーパー
擬似神経細胞が出力する低周波スパイク列から入力波形の高周波成分を復号する
牛場 潤一富田 豊正門 由久
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 30 巻 4 号 p. 225-233

詳細
抄録
神経細胞はほかの神経細胞群からの電流入力を受けると,スパイクとよばれる急峻な膜電位変化を発生させ,次の神経細胞へ情報を伝達する.本研究では,単一神経細胞が高周波入力を受けた際に,低周波スパイク列に入力情報を符号化する仕組みについて議論した.はじめに,三角関数を低周波インパルス列によって標本化し,離散フーリエ変換によってパワースペクトルを推定した.このときインパルス間隔を乱数によって変動させることによって,入力周波数を同定することができた.つぎに,神経細胞膜の電気的特性を模擬した非線形四次方程式を用いて入出力特性を解析したところ,出力スパイク列が不等間隔である場合に入力信号の周波数を同定することができた.これらのことから,高周波入力を低周波スパイク列に符号化するためには,スパイク発射の揺らぎが不可欠であると考えられた.
著者関連情報
© 2006 バイオメカニズム学会
前の記事 次の記事
feedback
Top