バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
無作為投球速度変化状況での野球の打撃動作に関する キネマティクス的研究
高木 斗希夫藤井 範久小池 関也阿江 通良
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2010 年 34 巻 1 号 p. 53-62

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抄録

本研究は,打者が予めボール速度がわかっている条件(球速提示あり)とわからない条件(球速提示なし)において,球速の異なるボールに対する打撃動作の特徴および打撃の時間的調節に及ぼす動作の影響を検討することを目的とした.球速の異なるボール(85-87km/h,105-107km/h,125-127km/h)を被験者に打撃させ,3次元自動動作分析システムを用いて動作を計測した.バット速度および打撃の正確性を表す指標を算出するとともに,打撃動作における体幹部の回転運動と身体重心の並進運動についても検討した.その結果,球速提示あり・なしに関わらず,打者はボール速度が大きい場合,身体重心移動距離を小さくし,また体幹の捻りが最大となる時点からインパクトまでの上胴の回転動作範囲を小さくしていた.このことから,打者は球速提示あり・なしに関わらず,ボール速度の判断を行った後にボール速度に応じて打撃動作を調整していることなどが示唆された.また,球速提示なしでは,踏出足接地から下胴部の角速度が最大値を示す時点までの時間を調整することによって異なる速度のボールに対するタイミング調節を図っていることなどが示された.

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© 2010 バイオメカニズム学会
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