バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
走動作の動力学シミュレーション
長谷 和徳
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2015 年 39 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

身体力学系の動力学特性を表したモデルを用い,順動力学的に走動作をコンピュータ上で生成することができれば,筋力の変化やシューズなどの力学特性変化と運動フォームとの関係を計算論的に評価することが可能となる.本稿ではこのような用途を目指した3 次元全身神経筋骨格モデルと,それを用いた走動作の動力学シミュレーションについて紹介する.このモデルの特徴は,3 次元で14 の体節,23 の関節自由度,70 の筋モデルなどを有する比較的大規模な筋骨格系,神経振動子や体性感覚フィードバックのような下位神経系に対応した運動制御,特異値分解による低次元化運動軌道記憶のような上位神経系に対応する学習的機能,重心制御のような随意的な運動調整機能などを有する点である.これらのモデルを用いて秒速6 メートルの走動作を実現している.

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