抄録
発達による歩容の変化を明らかにするため,4 歳の子どもが7 歳になるまでの4 年にわたり縦断的に歩行の計測を行った.情報の損失を抑えつつ歩容の変化を比較するために,主成分分析を用いて下肢関節の角度とモーメントの時間変化を次元圧縮し,年齢間での歩容の変化とそのばらつきの変化を評価した.主成分分析の結果,第1 主成分と第2 主成分がともに足関節の役割の変化を表すことが分かった.また,成長に従い歩容が主成分空間中で直線的に変化するのに対して,そのばらつきは一定値に漸近することが分かった.これらの結果は,歩容の成熟とその再現性の獲得が独立した現象であることを示唆している.また,主成分分析を導入すれば,歩幅や歩調のような特徴量では表現できない歩容の変化が評価できることを示している.