バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
食品の粘弾性モデリングと変形操作への活用
東森 充
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2016 年 40 巻 2 号 p. 91-96

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抄録
食品は粘弾性を有しており,操作中に外力を受けて変形し,さらには破壊現象を起こす.このような物理現象の複雑さが, ロボット研究者から見た操作対象としての食品に興味深さをもたらしており,著者らの食品センシング・マニピュレーション に関する研究のモチベーションとなっている.本稿では,はじめにロボットによる食品操作をグリッパやハンドを用いた把持 タイプとプレートを用いた非把持タイプに分別する.次に,把持タイプに着目し,食品変形の粘弾性モデリングとこれを活用 した変形操作手法について紹介する.食品は,把持によって変形が生じた後,解放後に一部は復元するが(弾性変形),一部 は残存(塑性変形)する.このような特性は,粘弾性要素の組み合わせにより表現することができ,接触力の与え方によって 弾性変形と塑性変形の配分が変化する.この基本原理に着目した効率的な食品変形操作手法について,シミュレーションと実 験を通じて解説する.
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© 2016 バイオメカニズム学会
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