バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
生体表面硬さの客観化と硬結
有馬 義貴
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キーワード: 触診, 硬さ, 硬結, 弾性, 粘性
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2016 年 40 巻 2 号 p. 85-90

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抄録
深さ(縦)や平面(横)方向の比較で周辺組織より硬い部位として認識されている硬結の客観化を目的としたヒトの触 診動作に基づく硬さ測定・評価について概説する.荷重-変位測定では弾性指標のN値,接線弾性係数を押し込み距離で除 算する圧弾性値を求め,これらの評価値が押し込み速度・距離,測定面の角度に影響を受け,深さ方向の硬さの検出が容易で ないことを確認した.粘性評価値としては係数・指数と弾性に抗する粘性の比率を反発率として求め,生体軟部組織が粘性に 欠け,弾性に富んだ物性であることを示唆した上で,ヒトの主観要素の一部を明らかにし,N値と反発率の二次元空間布置に よる粘弾性体としての硬さ表現を提案した.筋硬度計(PEK-1)の測定値は圧弾性値との比較から表層の弾性を反映し,測定 面の角度の影響を受けないことを示し,平面方向の硬さ描出の可能性を示唆した.
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© 2016 バイオメカニズム学会
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