術前の関節可動域(ROM)に有意差を認めない条件下で,人工膝関節全置換術(TKA)後1 年時点の変形性膝関節症(膝OA)と関節リウマチ(RA)患者における膝屈曲ROM の改善角度の違いを明らかにすることを目的とした.対象は膝OA 患者22 名28 膝,RA 患者15 名17 膝とした.術前ROM に基づいて130 deg 以上の良好群と130 deg 未満の中間群に分類し,その上で膝OA 群とRA 群の2 群に分類した.術前に対する術後1 年の改善角度を算出し,両疾患間で比較を行った.ROMの改善角度は,良好群では両疾患間に有意な差を認めなかったものの,中間群では膝OA 群に比べRA 群の方が有意に大きかった.TKA 後1 年の改善角度は,術前ROM が130 deg 以上の場合には疾患による違いはないが,130 deg 未満の場合には膝OA に比べRA の方が大きくなることが示唆された.