抄録
本解説では,ヒト上科動物(類人猿とヒト)のロコモーションの進化について筆者の意見を述べる.ヒト上科動物のロコモーションの特徴の一つはロコモーターレパートリーの多様性にある.木登り,ぶら下がり,四足歩行,二足歩行などがその多様性に含まれ,そのなかからヒトの常習的二足歩行が生じた.多様なロコモーション様式を実行するメカニズムの進化は,複数のロコモーション様式(ぶら下がりを除く)の間で後肢への荷重パターンが類似したことにより,木登り,四足歩行,二足歩行を,類似もしくは同一の後肢神経メカニズムによって実行するようになったことと関連すると筆者は考える.