抄録
けん玉は,日本で広く知られたあそびであり,世界的にも愛好家が存在する.けん玉では,膝の運動が大事であると言われている.しかしながら,けん玉を操作するのは手であり,膝ではないにもかかわらず,なぜ膝の運動が大事だと言われるのだろうか?この問いに対して,本稿では,著者たちがこれまでに行ってきたけん玉研究の成果にもとづき,1 つの解答を提案する.けん玉の「ふりけん」動作を分析した研究から,けん玉の熟練者たちは膝の運動を積極的に利用しつつ自身の頭部を玉の動きに持続的に定位させることで,揺れの少ない安定した視野像を得ていることが明らかになった.膝の運動は,動く対象物を見るときに視覚的な安定性を得るための基盤となっていることが示された.