バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
日常生活における机上把持方向寄与率にもとづく義手機能選択
樋口 凱大西 謙吾松原 裕幸梶谷 勇
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2021 年 45 巻 3 号 p. 164-171

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抄録
従来の義手の設計・評価は,ロボットハンドの把持形態数にもとづく設計・評価論を転用した結果,使用者の残存関節の代償動作の抑制について適切な評価ができていない.そこで本研究は,把持と姿勢制御の関係にもとづく義手機能の選択を目的とする.健常者 3名の胸部にビデオカメラを装着して机上把持を記録し,体幹・前腕と手の位置関係を示す把持方向により分類し,義手機能の日常生活への寄与率を導出した.結果,撓尺屈を付したフック型手先具の条件では,机上作業において出現する把持方向の 95.9%に対応することを確認した. 2つの把持方向を有する手先具と回内外機能の組み合わせでは机上把持の 80.1%に対応する.本手法の義手の設計・評価の効果を確認した.
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