バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
45 巻, 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
解説
  • 田中 英一郎
    2021 年 45 巻 3 号 p. 116
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
  • 谷下 一夫
    2021 年 45 巻 3 号 p. 117-122
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    価値観や文化の異なる世界で育った医と工の専門家が,同じ土俵で医療機器開発に取り組むこと即ち医工連携は,本来難しいことで,やれば自然とうまく行くということはない.日本医工ものづくりコモンズは,2009 年に医と工の融合を目的とするコミュニティを立ち上げ,それ以降医工交流を円滑に実現する要因を明らかにするため,医と工の専門家によって意見交換やイベントを行い,医工連携のエコシステムに関して模索を行ってきた.その結果,医療者は,開発のコアメンバーとして,最初から最後まで開発に関わって頂くことが必須であり,医と工の共創が医療現場で有用な医療機器の具現化に本質的に必要であるという認識に至った.究極的には,医と工のパートナーシップが医工連携を成功させる要因である.
  • 正宗 賢, 山口 智子, 村垣 善浩
    2021 年 45 巻 3 号 p. 123-128
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    近年,より高度な医療機器の研究開発が活発化している.以前から洗練された技術シーズに基づいた研究がアカデミア を中心に行われているが,特に治療機器である場合,そのまま上市に繋がる事例は少ない.その理由として,医療機器開発を行うために必要な医学的な知識や法規制等,社会的な側面での特性があり,アカデミア研究者だけではそれらを解決することが難しいことが挙げられる.我々は,医学・工学を軸とした多分野を連携・横断する感覚を研ぎ澄まし,社会実装に必要な知識や解決法を探るネットワーク拠点を作ることで,より高度化された医療の実現を目指している.本稿では,我々が医工連携教育として行っている(1)バイオメディカルカリキュラム(BMC),(2)日本医療研究開発機構(AMED)「次世代医療機器拠点事業」,(3)大学院による医療機器レギュラトリーサイエンスを含めた実践的教育について,それぞれを紹介する.
  • 栗山 卓也
    2021 年 45 巻 3 号 p. 129-134
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    医工連携では,医療現場や福祉介護現場のニーズ・アイデアを的確に捉え,企業が持つシーズを用いて解決手段を生み 出し,新たな機器製品へと具現化する,といった一連の連携体制が構築されるが,その道のりには様々な困難があるものと想像される.畑の違う医工間の意思疎通の難しさや,ニーズの見極め,市場性の把握,医療機関主導・企業主導の場合のそれぞれの課題,適応人材の不足など,様々に挙げることができるが,そのひとつとして,知的財産の問題があるだろう.本稿では,知的財産権(特許権,意匠権など)の取得を伴う医工連携の望ましいあり方,注意点や,医療従事者・研究者が実際に特許を出願する際に留意すべき点等について解説する.
  • 岡本 淳
    2021 年 45 巻 3 号 p. 135-138
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    医療は様々な技術を集約して発展する分野であり,工学が貢献できる可能性は非常に高い.しかしエンジニアが医工連携にチャレンジするには多くのハードルが存在する.医療行為は規制が多く,エンジニア自身がほとんど体験できない,工学研究の目的と医療の目的が一致せず,工学研究者としてテーマとしにくい,医療現場は局所最適化による緻密なワークフローが存在し,新しい技術を気軽に導入しにくい,保険適用まで売上の見通しをたてにくい,などである.工学の多くは医療と関連なく発展してきており,医療の世界への馴染みはまだまだ少ない.今後の展開として,薬学と工学を連携させる「薬工連携」に可能性があると考える.医薬品と医療機器を融合させた治療法が続々と登場しており,医療界に馴染んだ医薬品関係者を先導役にして狭き門を突破するチャレンジが期待される.
  • 村岡 慶裕, 鈴木 里砂
    2021 年 45 巻 3 号 p. 139-145
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    超高齢社会に突入した我が国において,リハビリテーション機器の開発は急務であるが,事業化に成功した例は極めて 少ない.IVES(Integrated Volitional control Electrical Stimulation:随意運動介助電気刺激)用装置は,1997 年に慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンターにて開発し,神経科学研究や臨床研究を積み上げながら改良を加え,複数企業への技術移転の後,純国産医療機器として薬機法承認・実用化を 2008 年に達成した.現在は,日本の医療機器メーカー 3 社から事業化されており,いずれも我が国の保険診療の中で広く活用されている.本稿においては,稀少な大学発国産医療機器開発の成功事例として,携帯型 IVES 用装置の誕生から事業化に至るまでの経緯を時系列に沿って述べる.
  • 田中 孝之
    2021 年 45 巻 3 号 p. 146-152
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    少子化問題に伴う労働力不足の解決策として高齢労働者の活躍が期待されている.一方で,高齢者は身体能力,認知能力の衰えから,労災リスクが高まることが懸念される.ここでは,我々が開発してきたスマートスーツを取り上げ,軽労化と呼ぶ,健康労働寿命を延伸させるための新たなアシスト技術の概念について述べる.また,産業医学との医工連携の取り組みとして,スマートスーツなどの軽労化技術を適切に職場に導入する手順を紹介するとともに,軽労化技術の開発と軽労化概念の社会普及活動を行っている軽労化研究会の活動について紹介する.
  • 弓削 類, 大塚 貴志, 中川 慧
    2021 年 45 巻 3 号 p. 153-157
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/01
    ジャーナル フリー
    幹細胞を用いた神経の再生医療に期待が寄せられている.我々は,神経と発生学的な起源を同じくする神経堤由来の頭蓋骨由来間葉系幹細胞を樹立し,細胞治療の安全性および有効性の検証のための臨床研究を開始した.また,幹細胞の培養環境として模擬微小重力環境に着目し,細胞の質を高める可能性を示した.昨今,細胞治療と合わせてリハビリテーションの重要性も問われていることから,至適なリハビリテーションの構築を目的とした歩行学習ロボットの研究開発も行っており,医工連携の観点から再生医療とリハビリテーション医療の機能的な統合を目指している.
研究
  • 福田 有紗, 丸山 将史, 白木 仁
    2021 年 45 巻 3 号 p. 158-163
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,立位撮影機能搭載型 MRIを用いて,足関節外反位荷重時に足部・足関節において生じる骨挙動について明らかにすることである.対象は,健常成人男性 13名とした.対象者の右足部を,平面板, 10 deg傾斜板, 20 deg傾斜板の 3条件にて,立位撮影機能搭載型 MRI(G-scan brio 0.25T(E-saote社))を使用して撮像した.得られた MRI画像から,後足部アライメント,距骨・舟状骨の最下点の高さおよび内側点を測定した.本研究の結果,傾斜板における足関節外反位での立位荷重時には,後足部の外反,距骨および舟状骨の内側方向への移動が生じる一方で,傾斜角度の増大により,後足部の外反および距骨,舟状骨の内側方向への移動は制限されることが明らかとなった.
  • 樋口 凱, 大西 謙吾, 松原 裕幸, 梶谷 勇
    2021 年 45 巻 3 号 p. 164-171
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    従来の義手の設計・評価は,ロボットハンドの把持形態数にもとづく設計・評価論を転用した結果,使用者の残存関節の代償動作の抑制について適切な評価ができていない.そこで本研究は,把持と姿勢制御の関係にもとづく義手機能の選択を目的とする.健常者 3名の胸部にビデオカメラを装着して机上把持を記録し,体幹・前腕と手の位置関係を示す把持方向により分類し,義手機能の日常生活への寄与率を導出した.結果,撓尺屈を付したフック型手先具の条件では,机上作業において出現する把持方向の 95.9%に対応することを確認した. 2つの把持方向を有する手先具と回内外機能の組み合わせでは机上把持の 80.1%に対応する.本手法の義手の設計・評価の効果を確認した.
  • 五十嵐 健太, 小林 吉之, 山下 勝, 赤井 智子, 小金澤 鋼一
    2021 年 45 巻 3 号 p. 172-178
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,暗所で障害物を跨ぐ際のつま先の軌跡の特徴を明らかにすることと,障害物に光情報提示を施すことによる効果を検証することとした.健常な若年者 8名を対象に暗所及び明所での障害物跨ぎ動作を,モーションキャプチャシステムを用いて記録した.提示した障害物の条件は,光源を障害物上縁全体に貼付したもの,上縁両端に貼付したもの,貼付しないものの 3条件設定した.主成分分析を用いて障害物を跨ぐ際の遊脚期中におけるつま先の軌跡全体を分析した.主成分分析の結果,明所と暗所間において有意差が認められ,光情報の有無による有意差は認められなかった.そこで,明所と暗所におけるつま先の軌跡の特徴を再構築した結果,暗所では障害物に対して遠い位置から跨ぎ始め,近い位置に接地すること,そしてつま先を高く上げる傾向が明らかになった.更にこれらの特徴について離散的なパラメータを統計学的に分析したところ,有意差が認められた.これらのことから,明所と暗所では障害物を跨ぐ際のつま先の軌跡の特徴は異なること,また今回のような光情報提示はつま先の軌跡に効果を与えないことが示された.
  • 宮崎 輝光, 藤井 範久
    2021 年 45 巻 3 号 p. 179-187
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究では,走動作中遊脚期後半において,大腿二頭筋長頭の筋線維の伸長率,伸長速度,発揮張力,および羽状角といった筋線維動態に対する筋厚変化の影響を検討した.複数の筋線維を有する筋モデルを用い,筋厚変化を考慮する条件と筋厚が一定の条件を設定し,遊脚期後半における筋線維動態の変動量を評価した.結果として,筋厚変化を考慮した条件から推定した筋厚は,力発揮していない状態の筋厚と比べて減少した.この条件における筋厚の減少は,筋線維の伸長率と羽状角の減少に寄与した.さらに,この筋線維の伸長率の減少は,筋線維の張力-長さ関係における力発揮の効率性に影響を及ぼした.しかしながら,筋線維の発揮張力は,筋厚一定条件と比較して,一定の変動傾向が認められなかった.
ショートペーパー
  • 小林 義和, 齊藤 亜由子, 木澤 悟, 宮脇 和人
    2021 年 45 巻 3 号 p. 188-191
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル フリー
    Namba walking style, known as a movement that reduces rotational movement around the pelvic cross-section, was used in ancient Japan. This study of five participants was conducted to investigate differences between normal walking and Namba walking and to use a musculoskeletal model to analyze normal walking and Namba walking. Moreover, a three-dimensional motion analysis system and force plates were used to assess normal and Namba walking. Measured data were analyzed using musculoskeletal model analysis software (OpenSim) procedures: scaling, inverse kinematics, inverse dynamics, and static optimization. Results indicated that four muscle forces related to the upper leg were decreased, whereas two muscle forces related to the lower leg were increased.
連載
feedback
Top