バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
子どもの運動遊びと運動能力の発達
板谷 厚
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 46 巻 2 号 p. 69-76

詳細
抄録

本稿は,幼児期の運動遊びが運動能力の発達に及ぼす影響を解説した.はじめに,幼児期の運動能力が神経筋系機能の発達と動きの形成の両方に影響され,複雑な発達経過を辿る様相を描写した.特に,動きの形成が運動能力発達のボトルネックとなると主張した.続いて,運動遊びのトレーニング効果を介入研究により検討した.結果,神経筋系機能の向上よりも,動きの形成が運動能力の発達に貢献することが示された.そこで,動きの形成を援助する運動遊びの効果を介入研究の結果にもとづき議論した.動きの形成を促す運動遊びは,習得に向けての準備(レディネス)が十分な場合,即時的に効果を発揮する.そうでない場合,意図的に構成された運動遊びは,運動能力の発達に寄与するよりもむしろ,経験の偏りとなってレディネス形成を促進するように作用すると結論づけた.

著者関連情報
© 2022 バイオメカニズム学会
前の記事 次の記事
feedback
Top