抄録
近年,ロボットおよび触覚センサ技術の高度化がすすみロボットの医療適用が期待されている.本稿ではロボットを活用した診察に焦点をあて,とくに触診における患部柔らかさや表面特徴を判断可能な人工知能(AI)と組み合わせたロボットシステム/ロボットハンドについて解説する.皮膚科では問診時に視診と触診から疾病や重症度の当たりをつけ,必要に応じて生検などの精密検査をおこない確定診断を下す.精密検査後に振り返ると視診と触診に基づく手がかりによる判断は 8 割ほどは合っている実感があるといわれ重要視されている.触診情報として力や振動を取得可能な触覚センサを直動アクチュエータやロボットハンド指先に取り付け,得られた触覚波形を画像化し,教師あり学習を用いた機械学習により皮膚科医師と同等の触診柔らかさの判断が再現可能な AI 構築手法が提案されている.また,触診動作を再現可能な 6 自由度のロボットハンドが構築されており,触診動作および触診判断がデジタル化により再現可能となっている.