抄録
本稿は,マンガキャラクターの「人種」をめぐる議論に注目し,一部のマンガ読者にマンガキャラクターが「白人」と認識される理由について分析・考察するものである.マンガ読者の間でキャラクター認識の齟齬が生まれる背景には,作画方法とマンガ表現による理由以外に,マンガ家や読者が属する社会で共有されているステレオタイプとも関係しているといえる.「マンガ=ドメスティックなもの」という考え方が通用しにくくなった現在,外国人読者とマンガ家の意見が今後どのように共有され,日本のマンガにどのような影響を与えるのか注目される.