知識生産の主要なアクターである大学と知識を経済・社会的価値に変換する主要なアクターである企業との連携がますます求められている.しかし,産学間のインタラクションでは,必然的にその利害に相違があり,利益相反のマネジメントが重要となる.本稿では,利益相反のマネジメントが実際に重要であることを浮き彫りにし,主要諸国における利益相反のマネジメントに対する取り組みの制度・運用面での現状を示し,日本の現状と比較する.そして,利益相反のマネジメントは,とくに法人化された大学においてはコーポレート・ガバナンスの課題の一つであり,その質的な向上を図るためには,先進的な経験に倣ってベンチマーキングの概念を援用することが有益であろうということを示唆する.